テクストからブログへ
自分のウェブを作り,何ごとかを書き出したのは,90年代後半のことだった.
自分の名においてサイトを作り,さまざまな人との交流を重ねてゆくのはひとつの悦楽だった.
そして,10年あまりの時が経ち,今や経済的/社会的/文化的な情報の流通の手段としてウェブは急速な発展を遂げ,さらにはブログやソーシャルネットワーク・サイトなど,個々人がいわば「外部記憶」としてのウェブサイトを有するまでに至っている.
僕はといえば,その流れに逆らうかのように,ウェブを閉じ,ネット上での発信をやめていた.
テクストの戯れにいい加減嫌気がさしてしまっていた.
あるいは,嘘と裏切りと沈黙の前に,こころをくだかれたこともあった.
なにより,自分自身に吐き気をおぼえていた.
しかし,ネットを介してここまで僕が得てきた人のつながりは,僕に発信することを決してやめさせてはくれなかった.
自分のサイトを閉じてなお,ウェブの記事を読ませてほしい,新しいことを書いてほしい,これまで僕のテクストを読んでくれていた友人知己や名も顔も知らない読者の人たちから,さまざまなことばをいただいていた.
そのことばに応えることは,ずっとできなかったが,ネットの外で僕は発信を続けていた.それは今や僕の仕事の主要な一部をなしている.
しかし,今なにげないことが必然であるかのように僕の背中を押している.
なにげないきっかけに導かれるのは面白いことだ.
それが皆さんの望みであるならば,
とにかくもう一度,始めてみることにする.
テクストからブログへ.
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